「4分の3の上達」

日本語教師こぼれ話

 先日、学生も教師たちも(?)待ちに待っていた遠足に行ってきました。遠足の日は、いつも遅刻する学生が一番に学校に来たり、いつにない団結力でクラスがまとまったり、普段の授業とは違った一面を見られるのが教師の楽しみの1つでもあります。
 今回の行き先はディズニーランド。その前の年はディズニーシーへ行ったので、ディズニーランドは初めてという学生がほとんどでした。
 私のクラスが一番始めに乗ったのは、3Dメガネをかけて宇宙船に乗っているような体験ができるアトラクション。このアトラクションは、船長役のキャラクターが早口で独り言やジョークを言いながら操縦し、イスが激しく揺れます。
 乗り終わったあと、「あまり怖くなかったな」と余裕の表情で話している男子学生たちの横で、とてもニコニコしている女子学生がいたので感想を聞いてみました。

「楽しかったですか?」
「はい!去年、ディズニーシーで同じような乗り物に乗りました。でも、今年の方がもっと楽しかったです!」
「へぇ、どこが去年よりもよかったですか?」
「船長の日本語がわかったことです!去年は全然わかりませんでした。でも、今年は4分の3ぐらい聞き取れて、ジョークもわかりました!」

 乗り物の楽しさよりも、日本語の上達に大きな喜びを感じ、「4分の3ぐらい」と素直に理解度を教えてくれた学生を見て、私もとてもうれしくなりました。
 この学生はあと3カ月で卒業ですが、「次にディズニーランドへ行ったときは『4分の4わかった』と言えるように、残り3カ月、一緒に日本語を頑張りましょうね!」と次のアトラクションへ向かいながら約束しました。(荒井)