日本語初級では、動詞の変形をたくさん勉強します。その最後にして最難関が「使役形」です。すでに勉強した「受身形」と混同してしまい、こんな珍回答があります。
お母さんが子供に野菜を食べるように指示している絵を見て、「お母さんは野菜に食べられました。」この野菜はモンスターでしょうか。
また、「使役形」が使えていても、助詞を間違えてしまうと、やはり、野菜はモンスターになります。「お母さんは、子どもを野菜に食べさせました。」
さらに、「敬語」表現を加えて、丁寧にお願いしようとすると、もう大変です。
中級以上のクラスでも、次のような会話が授業中に行われます。
学生「先生、トイレ……」
先生「トイレ?トイレがどうしましたか?」
学生「先生、トイレへ行っていただけませんか。」
先生「私はトイレへ行きたくないんだけどなあ。」
クラスから笑いが起きればOK。2つの文を板書して、どちらが「する人」なのか確認します。
さて、先日、あるベトナムレストランでのことです。日本語を流暢に使って接客している店員さんがテーブルに来て、「空いた食器を下げていただけませんか。」と言って食器を下げていきました。ああ、惜しい!残念! 正しい言い方を教えてあげたい。
日本語教師は、このような場面でいつも教えたくてうずうずしてしまいます。 (古谷)