私にとって日本語は母語なので、日本語が学習者にはどのように聞こえ、どの程度理解できているのかを正確に実感することは難しいことです。それが日本語教師を始めたころから悩みの種でした。
今、心掛けているのは、「これが英語だったらどうだろう?」「私はこれを理解できる?」「使える?」といった英語学習者としての目線で、想像力を働かせることです。そうすると、「これは知っているけど使いこなすのは難しい。」「じゃあ、授業で練習する価値がありそう!」などと授業のイメージが湧いてきます。私自身が外国語学習で苦労した経験は、直接法で教える上でとても役に立っています。
教師になったばかりの頃は、テンポの良い授業がしたいという教師目線の気持ちに囚われ、強引に授業を進めてしまうことがよくありました。「学習者目線が大切だ」ということは当たり前のことですが、頭でわかっているのと、自分で経験して気づくのでは全く違います。そのことが実感できてから、私の教え方も変わってきているような気がします。(本田)