上級クラスで、「受身形」(足を踏まれた、財布を盗まれた、等)がどのような場面、目的で使われるのか、という学習をしていた時のことでした。これは初級後半の学習項目ですが、文脈に合わせた運用をするのは難しいため、上級でも扱うことがあります。
その中で、「話者(=私)を主語にして、動詞を受け身にする」という練習をしていた学生が困った顔で質問してきました。
「先生!!『失恋したとき、友だちは私をはげました』はどういう意味ですか!?」
周りの学生も「私もわかりません」とほぼ全員がこちらを見ています。
「それは、『頑張ってね』とか『大丈夫だよ』とか友達が言ってくれた、ということですよ」
と説明しましたが、学生は「????」という顔。しかし、彼らは日本語の新聞を読み、日本人とディスカッションができる上級レベルです。
(何がわからないんだろう…?「励ます」という単語は知っているはずなのに…)
困って、学生の辞書をのぞき込むと……そこには「禿げる」の文字が。
A 「はげます(励ます)」→「はげまします」→「はげまされます」(正解)
B 「はげる(禿げる)」→「はげます」→「はげられます」
クラスの半数以上が、「失恋したとき、私は友達にはげられました」と解答していたのです。
失恋したストレスで私は禿げた。友達は関係ない文なのになぜ受け身にするのだろう?」という疑問を持ちながら。
学生は「音」で言葉を捉えるので、思わぬ「似ている言葉」の間違いが発生します。だから、学生が作る「おやじギャグ」のセンスは天下一品。
当校にいらっしゃることがあれば、たくさんのネタをお話しします。(勝間田)