「教科書だけじゃない」

日本語教師こぼれ話
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 中級クラスを担当していて、授業で映像を使うことがあります。

私が授業でよく扱うのは、日本のニュース番組です。つい先日は、冬休み明けの授業だったので、箱根駅伝のニュースを扱いました。新聞でもテレビでもインターネットでも、あれほど連日取り上げられていたのだから、学生からは「あ~!知っています!」という声が出ると思ったのですが…箱根駅伝を知っていた学生はわずか1名。以前学生が、「新聞は読まない」「テレビは持っていない」「ネットはゲームだけ」と言っていたことを思い出しました。日本のお正月の風物詩だということを伝え、ニュースを見始めました。

 知っている大学名が聞こえてきたり、自分と同年代の学生が走っていたりして、興味深そうに画面を見つめる学生たち。「たすき」「連覇」「7人抜き」という言葉も自然と覚えていきました。

 また、途中で流れるCMにも興味を示し、歌をまねて口ずさんでみたり、「このかわいい人は誰ですか」と聞いてきたり、「これは中国にも売っています!」と教えてくれたりしました。

 そんな学生の様子を見て、テレビも立派な教材だと改めて感じました。情報満載な上、おもしろく、生きた日本語が学べるのです。せっかく日本へ来たのですから、教科書以外のあらゆるもの活用して、日本語力をつけていってほしいと思います。(川畑)