現在私が担当するクラスには、中国・台湾・韓国・タイ・ベトナム・サウジアラビア・リビア・フランス・シンガポールの計9カ国の学生がいます。毎日の授業は刺激的でとてもおもしろいです。
教室での共通語はもちろん日本語ですが、同じ国籍の学生が集まるとつい母語で話してしまいがちです。先日、何度注意をしても中国語を話してしまう学生を非漢字圏の学生で挟むように座らせました。すると、それからは一切中国語を話さずにずっと日本語で話すようになりました。タイ人に漢字の説明をしてあげる中国人、中国人に漢字の読み方(ひらがな)をこっそり教えてあげるタイ人、一緒に教えたがるシンガポール人、その間違いを指摘するフランス人、それに対して冗談を言う韓国人とベトナム人などなど、教室全てが日本語という環境。教師が注意するよりも、クラスメートと話したいという気持ちのほうが効果があったようです。
自国との比較をさせても9種類の考え方や習慣が出てきます。大切なのは他を批判するのではなく、まずは知ること。たとえば、最近ではラマダン(イスラム教徒が行う断食)がありました。あまり関心がなかった学生も、クラスメートが必死に日本語で説明する異文化を素直に吸収し、お互いに理解しようと歩み寄っていきます。体調を気遣ったり彼らの前で水を飲むのをためらったりと各自が異文化を理解しようとする姿に嬉しさを感じました。
教師よりクラスメートのほうが素敵な教師になることもあります。私も学生から学ぶことは多々あります。知識だけではなく、そのような機会を与えて色々感じてもらうことも大切な時間だと改めて思いました。(三澤)