第405回 D言葉とS言葉(2)

日本語の美しさ
  1. ホーム
  2. 日本語の美しさ
  3. 第405回 D言葉とS言葉(2)

D言葉というのは、「だって」「だけど」「だったら」「でも」「ですから」「どうせ」というように、ダ行で始まる言葉のこと。この記事を書いているのは総選挙前なのですが、ある政党で幹事長と有力政治家が社会保障や定数是正の問題で激論となり、幹事長が「だから」を連発し、有力政治家の発言をさえぎる場面があったと報じられていました。

D言葉は、相手側に上から目線で説教されているような印象を抱かせたり、言い訳がましい響きを与えたりして、相手を感情的にさせたり、相手とのコミュニケーションを面倒に思わせたりするというネガティブなもののようです。

では、どうすればいいのでしょうか。

そこで登場するのがS言葉です。D言葉がダ行で始まる言葉だということは、S言葉はサ行で始まる言葉です。何か思いつきますか。……例えば、「すみません」や、「失礼しました」といった言葉です。

「D言葉とS言葉①」で例に挙げたタクシーのお客さんと運転手さんのやりとりについても、 お客さんがタクシーを拾って道順を話した時に運転手さんが説明したことを、「聞いてないよ」というお客さんに対して「だから、おっしゃった道だと混むんで、廻りますけど、ってお話ししましたよ、ちゃんと」と言うのではなく、「失礼しました。こちらの説明が足りなかったようで」 とまずは返して、その上で道順の説明を繰り返せばお客さんの感情を荒立てずに済んだのではないか、というわけです。

(に)つづく