前回まで、連濁が起こる条件、起こらない条件について、代表的なものを見てきました。それでは、下記の言葉はどうでしょう。
くじ引き(くじびき:連濁する)・綱引き(つなひき:連濁しない)
澄まし汁(すましじる:連濁する)・味噌汁(みそしる:連濁しない)
梅干し(うめぼし:連濁する)・物干し(ものほし:連濁しない)
い草(いぐさ:連濁する)・七草(ななくさ:連濁しない)
男手(おとこで:連濁する)・受け手(うけて:連濁しない)
連濁が起こる条件を満たしていても、実際には上の例のように連濁が起こらないこともあります。また、これまでに挙げた条件にも例外が存在することがあります。つまり、連濁するかしないかは最終的には語ごとに覚えるしかないということになります。
さて、この「連濁」について、日本語を学ぶ外国人に教えたほうがいいでしょうか。日本語には連濁という現象があるということを知っていれば、例えば「やまざくら」という言葉を初めて聞いたとき、既に知っている「やま」と「さくら」という語から意味が分かるかもしれません。複雑な法則は後回しにして、まずはこのような現象があることは教えたほうがいいと思います。連濁を通して、外国人が日本語の面白さも感じてくれればいいですね。
(み)
<参考資料>
・『日本語教育講座2 音声、語彙・意味』千駄ヶ谷日本語教育研究所 2003
・『新版日本語教育事典』社団法人日本語教育学会 大修館書店 2005
・『日本語の教科書』畠山雄二編著 ベレ出版 2009