第346回 珍しい人名4

日本語の美しさ
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さて、話が少しそれましたが、肝心の「心愛」と書いて「ここあ」と読む名前がなぜ許されているかについてです。戸籍法第50条では、「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。」「常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。」とあります。またその中で、漢字の使用については「常用漢字」と常用漢字以外に特に名前に使用してよいとされる漢字、いわゆる「人名漢字」が使用を認められています。つまり使ってよい漢字とそうでない漢字があるということです。常用漢字にも人名漢字にも当てはまらない、たとえば「玻」などは、使用不可ということになります。

しかしながら、これもまた驚くべきことに常用漢字と人名漢字に当てはまりさえすれば、「読み方」については特に制限が設けられていないのです。つまり漢字そのものには制限があっても、その漢字が使用できれば、どのように読み方を付けてもよいということなのです。「心愛」は「心」「愛」ともに常用漢字として定められているので、もちろん名前に使用でき、それを「ここあ」と読もうが、「しんでぃー」「あきこ」と読もうがかまわないというわけです。ここに「DQNネーム」(※DQNネームがお分かりにならない方は第1回をご参照ください)の誕生の理由があります。(田)つづく