「多文化共生」という言葉を見聞きするようになってだいぶ経ちますが、これは、地域社会の構成員として日本人と外国人が共に生きていくことを意味します。様々な外国人が日本に住むようになり、「外国人と話すときは英語」というのが必ずしも通用しないこと、日本語を日本人に話すように話しても通じないことが認識されつつあります。そこで必要になるのが、いい意味でのフォリナートークです。「月曜日、ビン、カン、だめ」のような言い方ではなく、「月曜日はビン、カンを捨てません」や、「ビン、カンは火曜日に捨てます」のように、相手にわかる範囲でできるだけ自然な言い方を選択することです。それも、言葉だけに頼るのではなく、カレンダーを指して確認したり、自治体から配布されている、その地域のごみの捨て方の手引きなどを渡したりすることで、理解の度合いを高めることができます。決して難しいことではありませんが、どういう工夫をすると相手の理解がたやすくなるのかは、ある程度経験がないとわかりにくいことだと思います。私たちの学校では、地域の日本語教室で外国人の日本語支援に携わる方々向けに、この工夫の仕方を知っていただく訓練を実施しています。今後は、「お隣さんは外国人」という環境が当たり前になっていくでしょう。多くの方に「いいフォリナートーク」を知っていただきたいと思います。(こ)
<参考文献>
・『日本語の教室作業-プロ教師を目指すための12章』水谷信子 アルク 2007
・「多文化共生社会で期待される母語話者の日本語運用力-研究の動向と今後の課題について」徳永あかね『神田外語大学紀要第21号』2009
・『応用言語学事典』研究社 2003
・「平成19年度文化庁委嘱『生活者としての外国人』に対する日本語教育事業 外国人に対する実践的な日本語教育の研究開発事業報告書 対話を中心とした交流活動のカリキュラム」学校法人吉岡教育学園 千駄ヶ谷日本語教育研究所 2008