「いらっしゃる」の岐阜弁には、「おんさる」のほかに、「みえる」という言葉もあります。これは、岐阜以外の地域でも「いらっしゃる」と同じ意味で使われることも多いので、理解しやすいと思います。ただ、その場合、例えば、「和尚様、あさって、みえる?」(おっさま、ささって、みえる?)のように単独で使われることが多いのではないでしょうか。
岐阜では、「みえる」は補助動詞としても使われます。
例えば、「ねえさまはかみんさに行ってみえるわ」(お義姉さん(※岐阜では長男の嫁を指します)は美容院に行っていらっしゃいます)、「しげさ、でーれー、怒ってみえたわ」(しげるさんはとても怒っていらっしゃった)のように、動詞の「て形」につきます。
岐阜から上京したばかりのころ、大学の友達の家に電話をして、友達のお母さんに、「○○さん、今日はどちらに行ってみえますか」と尋ねたところ、聞き返されあたふたしたことを思い出します。
似ている言葉でも、意味や用法が100%同じではないというのは、方言だけでなく、外国語にも言えることですね。
(イ)つづく