第291回 おっさま、ささって、おんさる?2

日本語の美しさ
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「いらっしゃる」の岐阜弁である「おんさる」は、「おる」に「さる」が付いた言葉です。この「さる」は、「行きんさる(行くの尊敬語)」「食べんさる(食べるの尊敬語)」「見んさる(見るの尊敬語)」「書きんさる(書くの尊敬語)」「しんさる(するの尊敬語)」のように使われ、標準語で言うところの、「する」の尊敬語の「なさる」に当たります。

標準語において、「おる」は元々は「いる」の謙譲語ですが、「先生がおられます」のように「おる」に尊敬語を表す「られる」を付けて、尊敬語として使うこともありますね。

日本語学習者に敬語を教えるときに、この謙譲語を使った尊敬語「おられます」をどのタイミングでどのように紹介すればいいのか、悩むことがあります。

以前に『日本語の美しさ』で扱った「ら抜きことば」(バックナンバー参照)もそうですが、文法的に正しいとは言えないけれど、実際にはよく使われ、耳にする言葉をどう学習者に伝えていくのか、教師として、正確さと自然さをバランスよく伝えていくことが大切だと実感します。

(イ)つづく