私は毎朝、職場に向かうとき、とても楽しみな気持ちになります。それは、教室で繰り広げられる学生たちとのコミュニケーションが大好きだからです。
言語がコミュニケーションのための道具であることを考えると、日本語の授業もまた、コミュニケーションを身につけるためにコミュニケーション主体で行いたいと私は思っています。教師が一方的にしゃべってばかりで学生の話す機会を奪うというのは、避けたいものです。
たとえば、新しい文型や表現を教える場合、「この文型の意味は◯◯です」と教師が説明するだけでは、学生の頭には何も残りません。そもそも、そのような学習は、自宅で参考書を使い、一人でできるものです。私の授業では、自分が説明するのではなく、その文型を含む例文を複数用意して学生に示し、その意味や用法を分析させます。その際、学生同士(ペアやグループ)で話し合いながら課題を解決していく協働学習の形をとり、お互いを学びのリソースとすることで学習の質を高めます。そして、更にクラス全体で話し合いながら協力し、みんなで理解を深めます。
このように、授業には様々なところにコミュニケーションのチャンスがあります。「次は学生とどんなコミュニケーションをとろうか」、「学生同士でどんなコミュニケーションをとらせようか」…、そんなことを考えながら、今日も私は楽しく授業の準備を行っています。(江上)