上級クラスでは、授業の一環としてターム末にシンポジウムに取り組みます。クラスが数グループに分かれてそれぞれのテーマについて調べ、そこからの考察をグループの意見として発表します。更に、その発表内容についてクラス全体で質疑・意見交換するという、総合力が求められる活動です。
担当したあるクラスでのことです。当初、クラス全体がやや冷めた雰囲気でまとまりに欠けていたので、まずグループワークがうまくいくのだろうかと、私は不安でした。授業も後半に差し掛かり、総合司会者を決める時には、誰もやりたがらず、最終的にじゃんけんで負けたA君が担当することになりました。A君はとても真面目ですが、消極的で口頭での表現が苦手な学生でした。
しかし、そこからのA君の頑張りは見事でした。授業中も授業後も積極的に疑問点を質問してくるようになり、休み時間も総合司会として想定した原稿を何度も繰り返し練習していました。クラスの学生もA君の積極的な姿勢に触発され、まとまりが生まれ、いざ発表当日。A君は緊張からぎごちなさはあったものの、司会をしっかり務めシンポジウムも大成功でした。
その後のクラスの反省会でのこと。「A君に拍手をおくりたいです。ありがとう。」と学生達から自発的に拍手が起こりました。「自分は話すことは得意ではなかったが、楽しかった。みんなに助けられて司会ができた。これからは不得意なものでもチャレンジしていきたい。」とA君。
照れながらも自信に溢れた顔のA君と、シンポジウムを通じてまとまりの出てきたクラス。私も学生の成長に寄り添えたのだと思うと、嬉しさもひとしおでした。(水谷)