ベトナムの現地企業で日本語を教えていた時の話です。
企業や大学では、日本語の授業が始業前や終業後に行われることがよくありました。慣れない新人の頃、「朝7時から大学での日本語授業を見学するように」と指示されたときは、そんなに早くから学生も来るんだ!と驚いたものです。
ベトナムには日系企業が多く進出していることもあり、日本語を学ぶことは、彼らの就職に直接関係があるため、日本語への関心が比較的高いように感じました。
私が担当した企業の場合、日本語の授業開講時大勢いた学習者は次第に少なくなっていくのが常で、20人のクラス3つが1年後には全体で5人になっていたという年もありました。しかし、残っている人達の学習意欲や能力は高く、その成長にしばしば驚かされ、教師として触発されました。
海外にいると、知恵を絞って様々な方法で日本語を教えようとする人たちと出会う機会があります。養成講座で学んだことは確かに当時の自分にとっては大切な基礎でしたが、その枠を自力で超える挑戦をしている人たちとの縁が、日本語教師としての私の背中を今も押してくれています。
現地文化の中で暮らし、仕事をすることは大変なこともありますが、振り返ってみると日本国内にいるときよりも文字通り一日一日、一生懸命に取り組んでいたように思います。海外での教師経験も、良いものです。(山地)