マイ箸はちょっと…

日本語教師こぼれ話
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上級クラスで環境問題をテーマにしたスピーチの活動がありました。ある学生が割り箸の消費による環境への影響について発表をした時、スピーチを聞いた学生が私に質問を投げかけました。

「先生、どうして日本のカップ麺にはフォークがついていないんですか。」

確かに!それそれ!と同調した学生たちが途端にザワザワし始めました。
そこで、「みなさんの国ではカップ麺にフォークがついているんですか。」と尋ねると、「中です!」「プラスチックの小さなフォークが入っています!」と声が挙がります。
つまり、カップ麺には予めフォークがついているから割り箸を使わなくていい、という話だと理解しました。
私は「そのフォークはプラスチックですよね。プラスチックのごみを増やしてしまうことが懸念されますが、その点についてはどう思いますか。」と学生達に意見を求め、クラスで議論する中で「じゃあ、みんなが”マイ箸”を持つのはどうでしょうか。割り箸も消費せず、プラスチックのごみを増やすこともありませんよね。」と提案をしてみました。

ここで私にとって予想していなかった反応が返ってきました。

「えぇ~!ないです!(笑)」「先生、それはちょっと貧乏な感じがして…。」
「マイ箸はちょっと…。」

学生の中にはマイボトルを持っている人もいるのですが、マイ箸には抵抗があるようで意外でした。話を聞いていくと、日本のようなお弁当の習慣がないことで捉え方に違いがあるのかもしれないと思いました。
日本語教師をしていると、学生の反応から文化や習慣、価値観の違いについて気づきを得ることができます。今回の授業も自分自身の価値観を振り返る貴重な時間となりました。(井田)