発話の書き起こし

日本語教師こぼれ話
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 会話のテストで、私は学生の話した内容を録音したものを書き起こします。専門的にはトランスクリプト(口述転写の意)またはトランスクリプションと言われるもので、本来ならば、様々な記号が出てきて一種の譜面のようになります。

 一例を挙げると、音が延びる場合、コロン「:」を使って表します。学生の会話で「え~~~と、あの~」などの音を記録する場合、「え:::と、あの:」というようになります。

  しかし、学生にそれを見せても理解されないので、私は読点「、」や、波形「~」などを使って書き起こします。学生本人は日本語文法を間違えずに話そうと一生懸命なので、自分が発している音には注意がおろそかになります。「あのう」や、「ええと」などのフィラー(間を埋めるものの意)を使うのは、日本語として自然でいいのですが、「あ~」「え~」など、日本語で書けないような母音を挟む学生が多いです。以下その一例です。

ホン: 「あ~、チュエンさんは、あ~、作ったことが、あ~、ありますか。」
チュエン: 「いいえ、私は 作ったことが ありません。でも、作り方は ちょっと 知ります。」

 このように学生は話します。彼らの発話の中には、不要に長く伸ばす発音や、活用の間違いや日本語にならない音の使用がたくさんあります。それらを自分で意識してもらう為に、書き起こして学生の注意を促しています。滑らかに発話させるために、私は文章の音読も勧めています。(山地)