冷たい水は体に悪いです

日本語教師こぼれ話
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 初中級の作文の授業でのことです。与えられた課題に沿って400字程度の作文を書く練習をしています。この日のテーマは「日本で理解できないこと」。普段頭を抱えてうなっているような学生でも、このテーマは取り組みやすい課題のようで、色々な視点から話題が出てきます。

 例えば、
・日本の部屋が狭いこと
・日本の果物がとても高いこと
・道にゴミ収集ボックスが少ないこと
・電車の中が静かなこと
・日本の女性は寒い冬でも短いスカートを履いていること
など、これらは学生からよく出てくる定番の話題です。
 この日は、また違った思わずう~ん…とこちらが頭を抱えてしまうような話題が出てきました。

 「先生、なぜ日本の飲食店では冷たい水を出すんですか。理解できません」
この質問が出た途端、周りの学生も「ああ!そういえばそうだ」と皆ざわざわと話し始めました。「中国ではお湯か熱いお茶を飲みます」「冷たい水は体に悪いです」「日本人は冷たい水が好きなんですか」など、ヒートアップ。

 「う~ん、確かにお腹を冷やすと体に良くないですよね、でも冷たい水が好きだからという理由でもないと思います。日本にも冷たい水ではなく温かいお茶を出す店もあります。正直今まで疑問に思ったこともありませんでした。」
 と伝えると、皆「あぁ~」という反応。

 普段当たり前だと思っていることが、彼らにとっては当たり前ではないということ。そのことに気づかされる毎日です。
学生に新たな視点を与えてもらうだけでなく、普段から自分も視野を広げて物事を見られるようにしなければ、と考えさせられました。授業では一方的な教える、教えられるという関係ではなく、お互いに学び合う関係の中で私自身日本語教師として成長していきたいなと思います。(井田)