初中級クラスの「読解」授業でのこと。教科書に出てくる600字程度の論文を読み、内容理解や要約練習を行う授業ですが、今日の論文のテーマは、「学校のいじめ問題」。まず、教科書を開く前に、学生に質問をしてみました。
「みなさんの国の教育問題と言ったら、どんなものがありますか?」
当然、「いじめ問題」が挙がってくると思っていたのですが、学生からの答えは全く別のものでした。彼らが口をそろえて言うのは、「中国の学校はとにかく勉強が忙しすぎる」というもの。
学生1「中国の高校は、朝7時から夜10時までで、夜遅くまで学校で勉強します。それが普通です。」
学生2「先生、私は高校生の時、平日は太陽を見たことがありませんでした。太陽が出ている時間はずっと教室の中です。」
教師:「えっ!?そんなに長い時間授業をするの?」
聞けば、中国の学校ではそれが当たり前とのこと。高校生は特に平日は、勉強以外の時間はほとんどないそうです。しばらく、中国と日本の学校の学習時間の違いについて盛り上がったあと、「じゃあ、他の教育問題はある?例えばいじめの問題とか。」と聞いてみました。するとみんな、首をかしげます。中国の学校では「いじめ」はそれほど多くなく、特別問題にはなっていないようなのです。
「もしかしたら中国の学校は自分の勉強が忙しすぎて、他人をいじめるような時間はないのかもしれないね。日本の学校は暇がありすぎるのかもね…。」
私が言うと、学生たちは、みんな大きくうなずいています。学生の話を聞いて、日本のいじめ問題の原因について改めて考えさせられた授業でした。
授業の中では、こちらが教えるだけではなく、反対に学生たちに、彼らの国の生活、文化や考え方について教えてもらうことがたくさんあります。私自身もそこから、日々、刺激や影響を受けています。(山田)