第414回 「もの」ってなにもの?(3)

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前回は、外国人学習者のための辞典で「もの」を調べてみると、「1.もの<物体>」とあり、あとはひたすら例文が並んでいる、それはその例文を手がかりとして意味を類推するからだ、というお話をしました。とはいえ、やはり例文だけでは理解するのに不十分なので、例文の後に説明が加えられています。「物体、または、時間の過程の中で起こること(できごと)とはかかわりなく存在する何かを、特定せず、一般的にとらえるときに使う。」というものです。考えたこともないようなことですが、なるほど言われてみれば確かにそうだ、と思わせる内容です。

ちなみに、この辞典に載っている「もの」に関する項目は、「1.もの<物体>」だけにとどまりません。「~というもの/~というものは、…だ/~ないものだろうか/~ものがある/~ものだ」など、「もの」の様々な用法について取り上げています。その数、全部数えると、32項目。外国人学習者が「もの」という言葉を自由自在に操るのには相当な努力が必要なようです。(田)つづく