先日、日本語教師養成講座のある受講生から「先生的にはどう思いますか」と質問がありました。質問されたときは、「え?先生的?先生的ねえ。かなり違和感があるなあ……」などと質問内容よりも表現に気を取られ、返答にいささか時間がかかってしまいました。
このような表現が注目されるようになったのは、「わたし的には~」という表現が2000年の新語・流行語大賞のトップテンに入賞してからです。
「わたし的には~」は、「わたしとしては~」という意味で、「わたしは」と直截的に言わずに、ぼかして言った表現だと言われています。文化庁の平成16年度の調査には、この表現が取り上げられており、使用状況は以下のとおりです。それにしてもずいぶん使われるようになっています。
男性 16~19歳 46.7(36.7)% / 女性 16~19歳 52.6(46.0)%
20~29歳 32.6(22.2)% / 20~29歳 44.1(16.1)%
30~39歳 29.5( 7.6)% / 30~39歳 25.4( 5.4)%
40~49歳 9.2( 5.1)% / 40~49歳 14.6( 5.2)%
50~59歳 5.7( 2.6)% / 50~59歳 5.2( 5.5)%
60歳以上 7.5( 5.8)% / 60歳以上 7.2( 3.4)%
※( )の数字は平成11年度の調査結果
さて、この「わたし的には」という表現は、避けるべきだという意見も多くあります。ただ、「わたし的には」の「的」ですが、日本語においてとても“元気に”働いています。新たなことばを作る力(造語力)が強く、生産力を持つ要素なのです。今回は、この「的」について取り上げてみます。(よ)つづく