NHK EテレのN響アワーを見ていたら、クラシック音楽の曲名に「メンコン」「ドボコン」のような略語が使われていると紹介していました。これはいわゆる「業界用語」です。これも4つの音(4拍)の略語です。
でも、その前に「NHK」も「Eテレ」も「N響」も略語です。
NHK:日本放送協会のローマ字「Nippon-Hoso-Kyokai」の頭文字によるもの。これまでの例ようの元のことば(ここでは「日本放送協会」)を略したものではなく、音の共通点はない。「エヌエイチケー(7音[7拍])」。
Eテレ:“Educational Television”の略。「イーテレ(4音[4拍])」。
N響 :NHK交響楽団の略。「エヌきょう(4音[4拍])」。
「N響」のNは「NHK」の「N」ですが、「NHK」自体も略語です。つまり、略語のもとの ことばも略語です。
さて、クラシック音楽の曲名の略語には次のようなものがあります。
メンコン:メンデルスゾーン バイオリン協奏曲 [協奏曲=コンチェルト]
ドボコン:ドボルザーク チェロ協奏曲
ブラ1 :ブラームス 交響曲第1番(以下、○○1、○○2・・・と続きます。)
チャイ1:チャイコフスキー 交響曲第1番
ベト1 :ベートーベン 交響曲第1番
「ベト7(ベトしち)」(ベートーベン 交響曲第7番)は、クラシック音楽を題材とした漫画 『のだめカンタービレ』のテレビドラマのオープニングに使用され、またドラマの中でも演奏されたので有名になりました。ちなみに「のだめ」は主人公「野田恵(のだ・めぐみ)」のあだ名ですが、これも「のだ」と「めぐみ」の「め」が組み合わさった略語(3音[3拍])なのでしょう。
日本語では略語が多く使われており、私たちは略語だと意識せず、普通に使っている場合があります。日本語を学ぶ外国人からは「略語は難しい」という声をよく聞きます。また、日本人とのコミュニケーションにおいても「メンコン」などの用語は業界外の人には理解が難しいものです。略語は省エネで便利なのですが、話す相手によっては、気をつけて使わなければなりません。
さて、次のBの文はどうでしょうか。
A:最近何を読みました?
B:ぼくは「もしドラ」です。
「うなぎ文」と「略語」でできた超省エネ型の表現ですね。日常の言語生活の中で、 省エネ型の表現を探してみてください。
(吉)