第275回 龍馬とお龍の旅-地名の由来6

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高千穂峰登山を終え、霧島神宮に参拝した龍馬とお龍は、翌3月30日硫黄谷温泉に宿泊しています。文字通り温泉特有の硫黄の臭いが立ち込める谷にあり、現在は庭園大浴場を売り物にする温泉ホテルが宿泊客で賑わっています。ここのいいところは、4つの泉質が楽しめるということ。硫黄泉・明礬(みょうばん)泉・塩類泉・鉄泉の4種類で、それぞれ効能が違いますから、好みで泉質が選べます。硫黄谷温泉で2泊した龍馬とお龍は、4月1日、また塩浸温泉に戻り1週間滞在。その後2人は4月8日、日当山(ひなたやま)温泉に来ています。日当山という地名は真言宗のお寺の号に由来しています。今でこそ、鹿児島の温泉地といえば、霧島と、天障院篤姫の故郷としても知られる指宿(いぶすき=平安期に編纂された『和名類聚抄』には「以夫須岐(いふすき)」と記され、元々は湯が豊かな宿を意味する「湯豊宿(ゆほすき)」であった)が双璧のように言われていますが、日当山温泉は鹿児島県内最古のいで湯、歴史は神代に遡る由緒ある所。西郷隆盛が頻繁に足を運んだ温泉としても知られています。

3月16日に鹿児島から日当山に着いた龍馬とお龍は、3週間ちょっと霧島の温泉を巡り湯治をして刀傷を癒し、またこの日当山温泉に戻って来ました。そして、この地で3泊した後、浜之市港から船で鹿児島城下へ戻ったのでした。

龍馬が京都で暗殺されたのはそれから1年8カ月余り後のこと。お龍と共に霧島で愉快に過ごした1カ月余りは、龍馬にとって身の危険を感じることもなく、伸び伸びとしたものだったようです。皆さんもこの機会に、龍馬とお龍の足跡を辿ってみてはいかがでしょうか。そして、地名の由来についてもっと調べてみると面白い発見があるかもしれません。(に)

<参考文献>