鹿児島空港から車でおよそ20分のところに犬飼滝という滝があります。幅22メートル、落差36メートル、なかなかの大滝です。滝の近くまでは遊歩道で600メートルほど。足場があまり良くないので、歩行には注意が必要ですが、ここは是非歩いてみたいもの。龍馬は姉の乙女に旅先から便りを送っていますが、間近で滝を見た龍馬には余程大きく見えたのか、「幅50間(約百メートル)」と形容し、「げに(本当に)、この世の外かと思われるほどのめずらしきところなり」と書き送っています。
この犬飼滝、どうして犬飼なのか定かではありません。因みに、この辺りは769年から770年にかけて律令官僚であった和気清麻呂公が配流されていた場所で、近くに和気神社があり、犬飼滝への遊歩道沿いに古めかしい露天風呂があって「和気湯」という札がついています。清麻呂公がこの辺りを散策して入浴したという言い伝えがあり、名前の由来となっていますが、犬飼滝という名称も清麻呂公と何かつながりがあるのかもしれません。この和気湯、龍馬もつかったそうで、龍馬ファンの人気スポットの一つです。元々個人宅のお風呂ですが、開放されていて自由に入れます。ただ、道端に唐突に出現する露天風呂で、脱衣場がなく、入るのはやや憚られます。それでも入ってみると何とも風情ある所です。ぬるめの湯につかって、龍馬と同じように山の景色を眺めながら思いにふけってみてはいかがでしょう?
(に)つづく