『古事記』『日本書紀』の中には、酒を表す言葉として「ミキ」の他に「クシ」「サケ」といった呼称が出てきます。
「クシ」は、形容詞の古語「奇し」に由来します。現代語でも「奇しくも一命を取り留めた」といった場合に使われますが、「不思議だ・霊妙だ」という意味 の形容詞で、お酒を飲むとなぜか嫌なことも忘れていい気分に浸れる、これは不思議だということから、お酒を「クシ」と呼ぶようになったのではないかと考えられています。
そして、「サケ」ですが、もともと「栄水(さかえみず)」と言っていたものが、「さかえ」から「さけえ」、そして「さけ」に変化したという説があります。この他、お酒は風寒邪気を避けるものと信じられていたことから、「避ける」が「サケ」になったという説もあります。
いずれにしても、いい意味での酒の効用・効果が語源に関係しているということがわかります。(に)